助手

なんつーか、アシスタント欲しくね？

かの有名な漫画家、大暮維人もアシスタントを二人雇ってから急激に絵が上手くなったという。

実写版塗り潰し機能というのはまさにこれのことなんじゃないだろうか。

僕のアシスタントになるんなら、１、２ヶ月かけて僕と同じ絵が描けるようになってもらう。

そして僕が適当に描いた絵でも見事に仕上げてもらうのだ。

それはアシスタントというよりすでにゴーストライターの域だな。

ここで浮上する問題は、その努力に見合う金は出せないということだ。

僕の技術を手に入れたところでそれほど高い場所に行けるわけでもないしな…

ただ一つ言えるのは、僕と同じ絵を描くことができるようになってもらうことは可能だと思う。

方法は一つ、徹底的に丁寧に教える。

輪郭の線を曲げる位置の比率とか、目から口・口から顎までの距離の比率とか。

そういった根本的な部分を一から叩きこめば、僕と同じ絵を描くことは可能だ。

俺が初めて大暮の漫画を読んだ時こう思った。

「これほどの漫画でもある程度練習すれば描けるようになりそうな気がする」

絵という媒体に限らず、何か特殊な技能の習得はその形を知るかどうかで決まると思う。

例えば口笛、初めて音が出るようになるまでには練習を要するが、
ひとたび音が出てしまえばそこからは自由自在だ。

つまり、大暮の漫画をひたすら真似し続けると、同じような絵が描けるようになるはずなのだ。

それをする者がいないのは、同じになったところで満足できないからだろう。

何かを目指すということには限界がある。

そこに到達してしまえば自分にとっての上は見えなくなり、
さらに上を目指すには嫌でもそこを離れなければならない。

だから、本当に上を目指したいなら真似した時点で終わりだ。

それが体に染み付いてしまったら二度とやり直すことすらできない。

まあ、C.C.くらいなら１、２度練習した程度で描けるようになったんですけどね。

夜神月を描こうと思ったらもう少し練習しないといけないかもしれない。

ケンシロウを描こうと思ったらさらに練習しないといけないだろう。

ところで金がないなんて言ってるわけだが、
とある友人（かどうかもわからない実委の馬鹿）に１万円貸していたりする。

そこで今後の望ましい展開なのだが、ベストは彼がこれを返さないというもの。

そうすれば僕は平然と「二度と僕に近寄るな」と言うことができる。

奴が俺に関わってくるせいで被った迷惑から考えれば、手切れ金１万円は破格だ。

１万円も貸したというのに返ってこないことを望むなんて人生で初めてだよ。

レポートの書き方ならいざ知らず、考察の一字一句まで聞かれた日には絞殺してやりたかった。
文面からは殺意が溢れていますが、見てわかる通りネタです。
…そうはいってもあいつのことだ、絶対に金が入ったと同時に返してくるだろう。

そういうとこだけはちゃんとした奴だからな。

って、別に俺はあいつと切っても切れない仲とかそういうわけではないわ。

確かにカラオケとかには行ったが。

それは単に俺がそいつのことが嫌いだからという理由だけで誘いを断ったりしない人間だからだ。

話がずれすぎて元に戻す気もなくなったが、とりあえず元に戻す努力だけはしてみる。

そんなわけで、初めは上を目指すために真似を避けていたものの、
結局上を目指すことを諦めたせいで中途半端になってるってのが俺の現状だ。

真似をするならするで決心してたら、ひょっとすると今よりはマシだったかもしれない。

ただ、レア（土星の衛星）を描いたときに思ったんだが、
（現時点では希望的観測かもしれないが）俺にはもう描けないものはないかもしれない。

俺は思う。誰でも無限大に時間をかければ何でも描けるって言うのは嘘だ。
表現上あえての「。」です、ご了承ください。
ある程度技術がなければ死ぬまで頑張ったって何でもは描けない。

今回俺には時間をかければ何でも描ける程度の技術はあるんじゃないかという可能性が現れた。

つまり、現状をより正確に整理すると、
時間をかければどんな絵も描ける技術がある、が、時間はない。

どんな画家でも結局はここに行き着くんだろ？

時間が無限大なら好きなだけ描くさ…

ただこれだけは言える、何でも描けるとは物質的にであって、技術的にではない。

簡単に言えば水墨画は無理だ。

祖父の知人の画家（演歌歌手の着物デザインを手掛けるほど有名）も言っていた。

墨を紙の上に乗せても滲まなくなるまでに３年かかった、と。

口笛理論より、その後は自由自在になったと仮定できる。

ちなみにそのお方は僕の絵を見るまでシャーペンの存在を知らなかったというね。

そんな天才かつ努力家に俺もなりた…くはないかな。