玩袋

この袋の中にはいろいろなものが詰まっているらしい。

明るい色をして、子供が好きそうな様々なものがその袋の中には詰まっている。

しかしその袋には手を入れるための穴がない。

なんとかこじ開けようとすると、袋は汚い汁をまき散らして抵抗してくる。

この袋はそういう袋なんだ。

試しに数発殴ってみたが、時間が経てば回復してしまうらしい。

仕方がないので昨日買ってきた特別切れ味のいい包丁でズタズタに切り裂いた。

思ったよりも中にはいろいろと詰まっていた。

子供は満足し、それを壁に投げつけたりして遊んだが、すぐに見向きもしなくなった。

今ではとても臭い。

大事

僕の大事なところに蛍光ペンで下線を引いて

次に見たときすぐに思い出せるようにしていた

今覚えているのはその時使ったペンの色だけ

どこに線を引いたかすら記憶には残ってない

君にあげたプレゼントの内容だけ覚えていて

プレゼントをした理由すらも今では覚えてない

大事なことほどより重く、深く記憶の中に沈む

掬い上げたとき、元の形は残っているだろうか

振り返ると君は今もそれを大切に持っていた

君のことを大切にすればいいんだと安心した

狭間

第１９層、この周囲よりも多少高度のある空の狭間にて君を待つ

手足は怨恨の楔に繋がれ、心は虚ろに溶けたけれど

私の目が君の姿を覚えているから

二人約束した復讐のため、君は必ず私の前に現れるだろうね

天の碇が揺れる様をどれ程の間眺め続けてきたのだろう

なぜ君は私を見つけることもできず、あの日に取り残されたまま地上を彷徨っているのだろう

私の呪いはまだ残っているのか

今や私も君の勝利を望んでいるというのに

私の目を潰せば君の想いは終わるのだから

私を殺して生きろ

主題

今日あることは今日中に言おう　明日やることは明日中にやろう

こもった子たちも頭の中からキラリと光るよ『脳内電波』

言いたいことだけ考えよう　やりたいことだけイメージしよう

弾ける頭に刺激を一発クラリと見えるよ天才　タ　イ　ム

彼が何してこうなった　じゃあ尾ひれをつけたら面白そう

僕が何してどうなった　でもそのまま言っても満足できない

アレンジ！　アレンジ！　アレンジ！　アレンジして！

最高！　最高！　最高！　サイコでもいいんじゃない？

とにかく君へ届けたいのなら　喉から手を出してでも掴みとれ

結局自分のための　昨日に負けない　トピックス♪

告白

君が昨日より僕のことを好きになってくれて　嬉しい

懐かしい匂いに　顔をうずめ思わず泣いたよ

君が朝より僕のことを好きになってくれて　嬉しい

目が合うたびに　とりあえず何度もキスしたよ

君がさっきより僕のことを好きになってくれて　嬉しい

僕の人生で最後の　２度目の告白をしたよ

明日僕達はもう　他人になるというのに


…はい、今回は本編が短いので久しぶりに少し解説でもしてみようかな。

読者は何言ってんのこの人ってなってると思うのでちょうどいいですね。

今回のテーマはズバリ、記憶喪失です。

というか痴呆？記憶障害の類ですが、嫁の記憶がどんどん昔に戻っていくということです。

まあ、記憶がだんだん無くなっていくという一般的な現象を利用して、
「所詮男女は付き合い始めた頃が一番楽しいんだよ」って感じの意見を織り込みつつ、
記憶障害の表現としてこういうパターンはどうですか？という提案をしております。

「あなた…誰？」ばかりが記憶喪失の代名詞として横行する昨今、
さかのぼった方がむしろ良いことがあるという点にも目を向けて頂きたい。

でもそんなことが起きようもんなら完全に忘れた時の悲しさも百倍ですけどね！

せっかく意味がわかって良い詩かと思ったのに、作者が完全にアレだった。