挑発

コラージュの印刷があったわりに製本には到底辿り着かない状態に終わった。

一番大きな理由は俺の絵が間に合わなかったから。

こんだけ時間かけといて結局間に合わないってどうよ？

しかもそこまでしといて一位じゃないってどうよっつうか何なの？

才能がないってことを自ら証明してしまったようなものじゃないか。

才能、才能ね…奴等はホントに一瞬だ。

そんな奴等が適当に描いて終わらせてる作品に俺がこれだけ時間をかけた絵は…
こんなにも簡単に負けて、もはや悔しいとさえ思えなくなってしまったよ俺は。

ちょっとだけ調子に乗らせてもらうと、これはまだ自分の作品が完成する前の話ね。

大学に来て、僕のプライドは既に跡形も残っていないんですよ。

…まあ、その先に何があったかと聞かれれば、とても素晴らしい世界だったわけだが。

常に負けていられるということも悪くはないんですよね。

常に挑戦者でいられるということです。

誰からも越えようとされないので、プレッシャーもないわけです。

誰かが本気で僕を倒そうと動き出したら、僕は生活の大半を絵に消費するようになるでしょう。

ただ正直に言わせてもらうと、現時点でそれが可能な人は僕の周囲に数人しかいません。

残りの人は「勝負にならない」・「戦う気がない」・「元から僕を超えている」のどれかですね。

挑戦者としては、ある程度僕に近い技術を持っていて、かつ僕より下というのが好ましいです。

つまり挑戦者とみなされることはそれほど良いことではないので注意が必要だ。

ましてや挑戦して負けた場合、僕の歴史の一部でしかなくなりますよ？

僕が欲しいのは、それでも僕を乗り越えようともう一度挑戦してくる熱意のある挑戦者です。

僕だってそんな簡単に倒されるつもりはないです。

というか、倒されてたまるかよ。

そんな簡単に負けるんなら、僕が人を描き続けたこの５年間はなんだったんだよ。

授業のときだって絵のことを考えてたし、浮かんでくる構図を必死に記憶したりもした。

その努力は、簡単に否定されていいものではないんだ。

簡単に否定させていいものではないんだ。

どうせ誰も戦いを挑んでこないだって？

…いい加減一人くらい挑んでこいや！！

自分にはそんな才能はありませんだと！？そんなわけねーだろ！

あの俺がここまで描けるようになったんだぞ？

お前らが本気で描き続ければ俺なんてすぐに越えられるんだよ！

そうすれば俺はそうやって俺を抜いていったお前らを更なる努力で抜き返すことができる！！

…そんなわけで、来年のアートバトルも期待してますよ皆さん。