目薬

昔から目薬が嫌いだ。

そして、私は目を酷使する癖がある。

よって、私の目は衰える一方なのだ。

最近特に気付いたら目が赤くなってることが多い。

未だに裸眼で特に何の影響もなく生活できてるのが奇跡だと思います。

こっから妄想ターイム。

…なんでこんなに目がいいんだ？

そうだ、何か見るだけで僕の目を癒してくれる、そんな目薬を超える目薬があるに違いない！

確かに、僕には見ているだけで癒されるものがいくつかあるじゃないか。

…あの娘か、そうだな。

そういえば一目見る度にどこか遠くの国の幻想的な景色でも眺めているような気になるよ。

遠くを見るのは目に良いんだったな。

そう、景色は自らの身を何者にもゆだねることはなく、悠然とそこに存在しているのだ。

絵はどうだ、これも疑う余地はないな。

特に自分で描いた絵を見るときの爽快感と安心感はとても言葉では言い表せない。

油絵に手をつけて以来、自分の絵が視界に多数存在するという状態を味わえるようになった。

多ければ多いほど、全体の認識が難しくなればなるほど、とても心が落ち着く。

それなのに…、それなのにあの人は…僕からウラヌスを取り上げるなんて…ッ！！

落ち着けマカロフ！！奴は既に独自の意思を持った…

もうお前が自由に拘束していい存在ではないんだ。

だって…だって！！あんなに一緒だったのに！！

僕が…僕がウラヌスを作り上げたというのに！！

そうだ、ウラヌスを作ったのはお前だ。

だが、お前が欲したものは自分の言うことを忠実に聞くだけの操り人形か？

意思を持った存在を作りたいと願ったのはお前自身じゃないか！

…ああ、クレイ…悪かった、僕がどうかしていた。

しかし、人造人間なんてものが本当に生まれちまうとは…お前は本当にすごい奴だよ。

ありがとう…ウラヌスは幸せそうだったかい？

もちろんだ、そして、きっともうすぐお前のところに帰ってくるさ。

ウラヌス…僕のウラヌス。

僕だけの…僕だけの大切なウラヌス。

なあ、どうして男は子を産めないんだろうな…

どうしてウラヌスは僕のお腹から生まれてくることができないんだろう。

僕のお腹からウラヌスが生まれてくるだなんて、考えただけで幸せになれるよ！

…マカロフ。

クレイ、僕はウラヌスと離れ過ぎておかしくなってしまったんだと思う。

もうやめるんだ、このままじゃ月も太陽も、お前を睨みつけることになるぞ。

嫌だ！…そんなの死ぬしかないじゃないか！！

みんな僕だけのものなのに…僕だけがみんなのことを理解してあげられるんだよ。

他の奴らなんかに僕たちの積み重ねた季節を知ることはできないんだよ。

あのとき優しく撫でてやった体も、交わした言葉も何もかもが僕たちだけのものなんだ！！

マカロフ…クソッ！

ッやめろ放せ！！…僕はウラヌスのところへ行く。

もう一度ウラヌスを僕の手に…

残念だよマカロフ、どうやらお前は完全にイカレちまってるらしい。

それがどうした！！

それでも僕はこうしてここに立っている！ウラヌスだって愛せるんだ！！

お前が僕とウラヌスとの愛を阻むのというのなら…ここで死ねぇえええええええ！！

残念だ…死ぬのはお　前　だ　よ。

銃声と共に妄想タイム終了。

でもね、実は結構目が悪くなってきてるんです。

症状が現れ始めたのは高校２、３年の頃だったかな。

一番後ろの席になったときに黒板がやけに見づらいことに気付いてね。

それ以来、遠くの景色が掠れてしまっている。

というか、そこからさらに悪化しているかどうかはわからない。

もともとそれほど遠くまで見えるような目を持っていたわけではないだろうし、
年齢の割によく見えている方だとは思うし、別にいいんじゃないか？

まあ、老化と共に目は悪くなっていくんだなっつうのをしみじみと感じとるわけです。

目が悪くなったらあの笑顔を見ることもできなくなってしまうのか…

そんな目ならいらない…

目がなくなったら彼女は、僕のそばにいてくれるのかな！？

…すっごい勢いで逃げていくと思うよ。

リアル病乙