分散

かつては一つだった男の精神が今ではこれほどまでに離れ離れ。

私には見えます。

彼らは私が彼らを存在として定義できるだけの思考を開始した瞬間から私を見ています。

いくつもの目が、私の頭の中で、奥の方から、透き通った姿で、私を見つめるのです。

あのとき集合した者達も、元は集合するまでもなく一つの存在だった。

いや、存在は今でも一つだ。

ならば彼らの相違点は何か？

曖昧に定義するなら、彼らには違いなどないのかもしれない。

しかし、そうして無いものとみなすことができる程度の誤差が存在していることは確かなのです。

この誤差は、私自身にとっては、許容することのできないものなのです。

例えば遠い昔、この宇宙に散らばった石屑たちは、互いに引き寄せ合って自らを形作り、
やがてある程度の質量を得てその膨張に幕を下ろしたわけですが、
私の頭の中ではこれと同じような現象が起きているに違いありません。

何を集めてできたのか、これが人間にとって、とても大切なことだと思います。

肉体的にも言えますし、精神的にも言えるはずです。

これらは誰もが理解している通り、全く同じ経過をたどっても同じ結果を生みません。

この世に生を受けた時点で他者との相違点があり過ぎるのです。

さて、ならば、彼らの意思を使って至高の文章に到達することができるのでしょうか？

特異である可能性は大いにあります。

そもそも、あなたは文章を書くとき、勝手に自分のことを俺と呼んだり僕と呼んだりしますか？

少なくとも私は勝手にそうなります。

こういった生活を続けてきたせいで生まれた文章を書く上での癖のようなものかもしれませんね。

今まで見てきたものに至高の文章がなかったと仮定すればだ、（あったと言えばあったんだが）
それらと違うもののなかにこそ至高の文章が生まれる可能性が高い。

仮に至高の文章へ到達したところで、私は満足できないだろう。

それどころか、そのことにすら気付かず、やがて朽ち逝くだけなのだろう。

でもね、誰かがそれを面白いと思ってくれたら、その人にとっては至高の文章だったかもしれない。

それは今までの記事の中に含まれましたか？

含まれてないとすれば、彼らの新たなる可能性にかけるしかない。

…オイ、弐人目と陸人目、ちょっと融合してみろ。

無理。（即座の否定による自己の独立の維持）

だよね…（他者への肯定による自己保身）

こうして私は少しずつ、また確実に、おかしな人間へと近似されていくのでした。（諦め）

大波乱のフィフスシーズンを乗り越え、私たちはどこへ向かうのだろうか。（希望を含んだ不安）

とりあえず…そう、こうして何か書いていよう。（思考の転換による行動の促進）
迷走したっていいじゃん、それが今のリアルなんだから。
君に贈るための、最高の言葉を考え続けるかのように…（蛇足）

※このブログはフィクションですが、受け取り方はあなた次第ですが、模範回答は存在します。