虚節イッター:記事を更新したいお年頃になってしまったようです
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ファントム・アポカリプス エピソード:No.457
アリシュナが従える無数のコウモリの群。ある日彼は思いついた。
コウモリ達の中には他の個体よりも優れた身体能力をもつものが数匹存在する。
この遺伝子を他の種族のものと混合させることで、忠実な下部を増やしてはどうか。
今、全世界において彼に味方する者は、皆無に等しかった。
こうして始まった「ハイブリッドブラッド計画」は、スーナイの手によって進められた。
その計画の457番目の被検体、それが彼である。唯一適合反応を示したエルフとの混血。
本来決して混ざり合うことのない2つの種族が適合したのは奇跡としか言いようがなかった。
やがてエルフは変態を繰り返し、徐々に身体にコウモリの特徴が現れ始める。
エルフの成長速度は早く、ある程度で容姿の変化は急激に遅くなる。
身体能力的にも申し分なく、寿命も長い。計画の続行には申し分ない条件だった。
ところが、2人目のエルフは適合反応を示さなかった。このとき実験を行ったエルフ10人中、
適合したのは彼だけだったのだ。
結局計画は失敗に終わり、アリシュナはこの計画への興味を失った。
試験体No.457は名前を付けられることもないまま、アリシュナのために半ば道具として使われた。
しかし彼はそれでよかった。彼にとっての生みの親がアリシュナであることに違いなかったからだ。
ところがその数ヵ月後、彼を初めての拒絶反応が襲う。そのとき彼は頭の中で声を聞いた。
声の正体は元の体の持ち主、彼はエルフのリッヒと名乗った。この日からこの体には、
2つの意思が共存することとなる。
アリシュナの次なる命令は、コッドロッド一族の討伐。彼らは各地を渡り歩き、
様々な物事を記録し、それを売って生活する一族である。
今この世界で我らが居城の場所を知っているのはその一族だけなのだ。
彼はスーナイに同行し、暗闇にまぎれてコッドロッドの一団を奇襲した。
数多くの命を奪った彼が目にしたのは、まだ幼いゴブリンの子供だった。
突然、彼に二度目の拒絶反応が起きた。このときだけ彼はリッヒに体の所有権を奪われる。
意識が飛び、気付いた時には城に帰り着いていた。このときスーナイは、
コッドロッド一族の亡骸から1人を選び、城へと持ち帰った。
ほどなくして、彼は牢屋の見張りを任されることとなる。中に何が入っているかは知らない。
彼はアリシュナのため喜んで引き受けたが、それ以来退屈な日々を送ることとなった。
いつも同じ部屋の中で、ひたすら轟音が鳴り響く扉を見張り続ける日々が何年も続いた。
しかし、その日は違った。久しぶりに狩りの機会が訪れたのだ。
彼は城中のコウモリを集め、3人の侵入者を出迎えた。その中の一人と目が合う。
その男は突如雄叫びを上げると、仲間を先に行かせ、自分のもとへ近づいてきて叫んだ。
「長かった…お前は俺が殺す!!」
彼にはなぜ男が怒っているのかがわからない。だが、次の一言で彼はすべてを理解した。
「コッドロッドの名…忘れたとは言わせねぇぞ!?」
リッヒが笑っている。そうか、こいつはあの時のガキだ。リッヒの奴、よくもやってくれた。
死に損ないがしぶとく生き延びて復讐に来たわけだ。…面白いじゃないか!
「へぇ…僕に殺されに来てくれたんだね。」
「勘違いするなよ。…死ぬのはお前の方だ!」
無数のコウモリが男に襲いかかった。とたんに男の姿は見えなくなる。
次の瞬間、彼は何かが自分の方へ飛んでくるのを察知し、身をかわした。
何かが天井に突き刺さる。それは聖紋の刻まれたナイフだった。
「…危ないもの持ってるんだね。」
「そんなに危なくなんかねぇさ、俺たちにとってはな。」
「気に入らないな!」
彼は一直線に男に向かって飛びかかろうとした。そのときだった。
天井に突き刺さったナイフが弾けた。
「終わりだ!聖粉大爆破!!」
ありえない。奴は自分ごと全てを爆発させるつもりだった。なんという愚かな奴…
体が動かない…こんなところで死ぬのか。そう思ったとき、彼はさらに衝撃を受けた。
男が平気な顔をして立っている。自分を覗き込んで何か言っているが、もう何も聞こえない。
彼の命はその視界と共に、ゆっくりと閉じ、終焉を迎えた。
しかし、まだ何か残っている…そう、残っているのだ。
アリシュナが従える無数のコウモリの群。ある日彼は思いついた。
コウモリ達の中には他の個体よりも優れた身体能力をもつものが数匹存在する。
この遺伝子を他の種族のものと混合させることで、忠実な下部を増やしてはどうか。
今、全世界において彼に味方する者は、皆無に等しかった。
こうして始まった「ハイブリッドブラッド計画」は、スーナイの手によって進められた。
その計画の457番目の被検体、それが彼である。唯一適合反応を示したエルフとの混血。
本来決して混ざり合うことのない2つの種族が適合したのは奇跡としか言いようがなかった。
やがてエルフは変態を繰り返し、徐々に身体にコウモリの特徴が現れ始める。
エルフの成長速度は早く、ある程度で容姿の変化は急激に遅くなる。
身体能力的にも申し分なく、寿命も長い。計画の続行には申し分ない条件だった。
ところが、2人目のエルフは適合反応を示さなかった。このとき実験を行ったエルフ10人中、
適合したのは彼だけだったのだ。
結局計画は失敗に終わり、アリシュナはこの計画への興味を失った。
試験体No.457は名前を付けられることもないまま、アリシュナのために半ば道具として使われた。
しかし彼はそれでよかった。彼にとっての生みの親がアリシュナであることに違いなかったからだ。
ところがその数ヵ月後、彼を初めての拒絶反応が襲う。そのとき彼は頭の中で声を聞いた。
声の正体は元の体の持ち主、彼はエルフのリッヒと名乗った。この日からこの体には、
2つの意思が共存することとなる。
アリシュナの次なる命令は、コッドロッド一族の討伐。彼らは各地を渡り歩き、
様々な物事を記録し、それを売って生活する一族である。
今この世界で我らが居城の場所を知っているのはその一族だけなのだ。
彼はスーナイに同行し、暗闇にまぎれてコッドロッドの一団を奇襲した。
数多くの命を奪った彼が目にしたのは、まだ幼いゴブリンの子供だった。
突然、彼に二度目の拒絶反応が起きた。このときだけ彼はリッヒに体の所有権を奪われる。
意識が飛び、気付いた時には城に帰り着いていた。このときスーナイは、
コッドロッド一族の亡骸から1人を選び、城へと持ち帰った。
ほどなくして、彼は牢屋の見張りを任されることとなる。中に何が入っているかは知らない。
彼はアリシュナのため喜んで引き受けたが、それ以来退屈な日々を送ることとなった。
いつも同じ部屋の中で、ひたすら轟音が鳴り響く扉を見張り続ける日々が何年も続いた。
しかし、その日は違った。久しぶりに狩りの機会が訪れたのだ。
彼は城中のコウモリを集め、3人の侵入者を出迎えた。その中の一人と目が合う。
その男は突如雄叫びを上げると、仲間を先に行かせ、自分のもとへ近づいてきて叫んだ。
「長かった…お前は俺が殺す!!」
彼にはなぜ男が怒っているのかがわからない。だが、次の一言で彼はすべてを理解した。
「コッドロッドの名…忘れたとは言わせねぇぞ!?」
リッヒが笑っている。そうか、こいつはあの時のガキだ。リッヒの奴、よくもやってくれた。
死に損ないがしぶとく生き延びて復讐に来たわけだ。…面白いじゃないか!
「へぇ…僕に殺されに来てくれたんだね。」
「勘違いするなよ。…死ぬのはお前の方だ!」
無数のコウモリが男に襲いかかった。とたんに男の姿は見えなくなる。
次の瞬間、彼は何かが自分の方へ飛んでくるのを察知し、身をかわした。
何かが天井に突き刺さる。それは聖紋の刻まれたナイフだった。
「…危ないもの持ってるんだね。」
「そんなに危なくなんかねぇさ、俺たちにとってはな。」
「気に入らないな!」
彼は一直線に男に向かって飛びかかろうとした。そのときだった。
天井に突き刺さったナイフが弾けた。
「終わりだ!聖粉大爆破!!」
ありえない。奴は自分ごと全てを爆発させるつもりだった。なんという愚かな奴…
体が動かない…こんなところで死ぬのか。そう思ったとき、彼はさらに衝撃を受けた。
男が平気な顔をして立っている。自分を覗き込んで何か言っているが、もう何も聞こえない。
彼の命はその視界と共に、ゆっくりと閉じ、終焉を迎えた。
しかし、まだ何か残っている…そう、残っているのだ。
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