粒子

（とにかく細かいことは抜きにして、間に合った…）
新しい始まり方、ゲットだぜ！
という感覚が粒子状になって心の海を漂うといった感じ。

厳密に言えば、もうどんなに頑張っても間に合わないのかもしれない。

今回の展覧会に２枚の絵を出すことができたのは部分的な結果にすぎないのであって、
結局私の求めているものの１５～１６分の１程度と、明らかに過程である。

私は過程を捨てることができる人間なので、この成功は後に無に帰するだろう。

とは言っても、捨てるかどうかは自由に選択可能ではあるが。

それに、人生においての目標はこれの完成だけではないはずだ。

仮に私が１日たりとも無駄に過ごさないという目標を立てていたとしたら、
今日ほど目標を阻害する要素を持った日もないだろう。

今、私には求めている結果がいくつかあるし、可能なら全て実現させなければならない。

…あんまり難しくし過ぎると記事自体が無駄になりそうで怖いな。

つまりさ、帰ってからすぐ寝たら次の日になってた。

帰ってからはせめてもの償いに今回出せなかった３枚の下書きだけでもと思ってたのに…

結局土曜から彼らは何も変わってない。

しかし、今までどれほどの人が月、太陽といったものを絵にしてきたことか。

そして逆にフォボス、ダイモスといったものを絵にした人は何人いるだろうか。

まだあるぜ、こんなもん描いてる奴絶対いねーよって星がな。

スットゥングル、ムンディルファリ、フォルニョート、エウケラデ、ヤールンサクサ…

逆にフェンリル、キューピッド、ヒドラ、パンドラ、アトラスといったように、
違う形（もしくは原形）でよく描かれているものもある。

まあ、原形を言い出したら一応どれも絵になったことがあるんじゃないかということになるよね。

しかしながら、それらを私が（人生が８０年あるとしたら）２０分の１程度を使い、
全て描ききったとしよう。

…誰の得になるんだろうか？

誰の目にも止まることなく消え去る粒子のような存在になるのではないか。

まだ僕の生きているうちはいい、僕が毎日でも見ててやれるから。

僕が死ぬときが彼らの死、そして生まれ変わりの時だ。

なぜなら、作者の作った人格は作者にしか作れない人格だったから。

誰かに「この絵はこんな性格なんですよ」とか教えるのも変な話だし、
自分自身が感覚としてとらえているので言葉にするのは多分不可能だ。

よって彼らは私の死後、無機質なものになるか、回答の存在しない無数の人格を持つ。

ところで、もう構想はだいたい決まってるんだ。

太陽は４枚、水星～海王星は２枚、あとは枚数を合わせながらって感じで、
各星たちの枚数に差をつけることが決定していた、ちょっと前に。

枚数によっては地球を４枚に格上げしようという計画もある。

とりあえず現時点で太陽、水星、地球、火星にはもう一つずつデザイン案がある。

まあ大変なわけですけど、在学中に間に合わなくてもいいですよね。

絵の優先順位は確かに高い位置にあるんですが、１番ではないですし、下げることもできます。

自由に描けるという状態が、僕が一番絵が好きな瞬間なわけで、
絵に縛られると楽しくはなくなりますね、描きたくなくなるなんてことはありませんが。

ただ、展覧会の期限などといったものに縛られる前に、
私たちには生まれながらに持った期限が存在するわけで。

心臓の拍動回数には限界がある。

その回数に到達すると心臓は機能を停止し、人は死ぬわけですね。

死ぬときは心臓に「お疲れ様」程度の言葉をかけてあげてもいいんじゃないかな。

ただな、最近の再生技術の進歩には恐怖すら覚えるぜ。

仮に愛する人の複製ができたとして、それを同様に愛することができるだろうか？

できないと思った人が多ければ、人間には本当の愛があるということかもしれない。

とりあえず、僕はできない。

むしろその姿を見て、あまりの絶望に涙を流すだろう。

人間は自ら情報に帰還するのか…？