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ファントム・アポカリプス エピソード:バッフェンドートー=ゼルデラヌス
かつて、彼を縛りつけた者がいた。その為に存在するというのに、
それへの手出しを禁止されたとあっては、もはや存在価値がないのではないか。
バッフェンドートー=ゼルデラヌスは、この千年もの長い年月に独り耐えていた。
これまでの間にいろいろなことがあったのかもしれないが、すでに記憶には残っていない。
なぜならば、今日はこの千年間、待ちに待った復讐の日だからだ。
愚かな人間共は、私を生み出したばかりか、日増しに力を供給してくれている。
だがまあよい。人間は破滅を望む生き物なのだ。いや、彼らの生そのものが、
破滅を導いているのだ。どうせ滅びる運命というのであれば、少しだけ私が楽しんだところで、
特に違いはないだろう。そのためには、ジャック=オ=ランタン、奴を殺すことだ。
契約が切れる…千年前から変わらぬその姿が今、私の目の前に立っている。
さてどうやって殺してやろうか。私は知っている、今の奴は弱っている。
この千年の間に人間たちの考え方は大きく変わった。安定した思考もできぬ種族なのだ。
そんなものから力を受けるなど、愚かとしか言いようがない。
無論その言葉には、自らの運命を呪い、人間の根絶を望む彼の嘆きも含まれている。
「魔神殿、どうか考えを改めてはくれないでありますですか?」
「…ナンダソレハ?キサマノクチカラソノヨウナコトバ…キキタクナイワ!!」
「人間を殺せば、人間によって生み出されたあなたもどうなることか…」
「ショウシ!ワレハフクシュウノタメニアリ。ソレサエハタセバソンザイナドイラヌ!」
「どうしても、駄目なのですか…?」
「サア、ケイヤクハイマ、カイジョサレタ!!」
この瞬間をどれほど待ち望んでいたか。言葉で言い表すことはできない。
自らがそう思考し終わる前に、彼は閃光を放っていた。
「マッテイタゾ…キョウガキサマノメイニチダ。」
無数の機雷が飛んでくる。覚えている…千年前、私を嬲り殺そうとでもするかのように降り注いだ、
あの趣味の悪い爆弾。なるほど、あれはこの程度のものだったか、いや、やはり奴は弱っている。
存在の全てを否定されたあの日の貴様と闘うことができないのは本当に残念だ。
だが、これで全てわかった。人類滅亡の時がやってくる、私の手によって!
「ドウシタ?アノヒノキサマハ、ソンナモノデハナカッタハズダ!」
「手加減してあげただけなのでございますです。」
「…フンッ!ダァア゛!!」
なるほど、なかなかやるではないか。まだ完全に力を失ったわけではないということか。
しかし、足りない。あの日の貴様は、その閃光を五重に放ってきた。私は絶望した。
貴様にはもうその力すら残っていないのだな…
空間が歪み、大爆発が起こる。今の爆発は少しだけ効いた。が、それでもこの程度。
もはや長引かせる価値もない…そろそろ終わりにしよう。
「これは…まずいのです…!」
「グ、ナカナカヤルナ。シカシカツテノキサマホドデハナイ…ツギデオワリダ。」
周囲の大気を吸収し、体内で高密度に練り上げる。この空間の大気は、
人間の怒り、悲しみ、憎しみ、嫉妬、欲望、怠惰、傲慢といったものを多く含んでいる。
無論それを練り込んだのは私自身だ。貴様を確実に消す、
そのための準備期間を千年も与えたのは、取り返しのつかない失敗だったようだな。
そのとき、ジャックは彼に何かを投げつけた。それと同時にその場に倒れ込む。
バッフェンドートーに飲み込まれたそれは、彼の意識を一瞬の間、どこかへ飛ばした。
気付くと、バッフェンドートーの腹には、大穴が開いていた。そして、何かが飛び出した。
「さあ、千年契約しようよ。」
「…ナ…ナンダト!?」
「今日からは俺がジャック=オ=ランタンだ。さあ、千年契約!」
あり得ない…ふざけるな!奴を殺す、そのためだけに全てを準備してきたこの千年は、
憎しみとともに独り待ち続けたこの千年は一体何だったのだ!
ジャック=オ=ランタンは一方的に契約を結ぶと、彼の足を千切り、どこかへ消えていった。
「マタ、スベテフリダシトイウワケカ…ガァアアアアアアア!!」
「それは違うな、バッフェンドートー=ゼルデラヌス。」
「!?…キサマハダレダ?」
「ほう、貴方は記憶力がなっていないようだな。ならば教えよう。
我が名はリーン=クレメント=アリシュナ、貴方を殺す者だよ。」
「キサマゴトキニ…!?」
体が動かない。足が千切れているからでも、腹に穴が開いているからでもない。
この男がそうしている。魔神であるこの私になぜこのような…なんだ、
これは、神の力…
「貴方の体…いただこうか!」
「キサマァグゥオアァアアアアアアア!!」
「…実に愉快な晩餐だった。さあ行こう!全てを私の思うがままに!!」
クハハハハ!!フ…ハハハハハハハハハハハハハハハ!!
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