終始

６月の時点で既に土星の大まかな下書きはできていたというのに、
現時点でまだ完成できていないというこの現状をどう見るかという件について、
一般的な完成に対するイメージと私的な完成の定義双方の相違点を見つけ、
それによって得られる私自身の問題点を作品たちに投げかけてみる。

…この現状。

お前たちには本当に申し訳ないことをしてしまったな…

６月の段階では下書きはできてたんだよ？

それが、これだ。

いや、でも言っとくけど、お前たちは僕の中ではもう完成してるんだからな？

正直、もう頭の中で出来上がった時点で完成なんだよ。

ただ、それじゃあお前たちの価値は見る人に絶対伝わらない。

だから、これは完成に向けての作業じゃないんだ。

色に頼らないと何も感じることができない人達にも、
お前たちの良さを少しはわからせることができるようにしているだけだ。

これをやらなければ、良さを理解できない奴が文句をつけてくる。

手抜きだの何だのと。

何をもってして手抜きか？

お前が嫌いなだけじゃないのか？

はっきりそう言えばいいじゃないか。

速く描くことに意味を見出す人間もいれば、色に意味を見出すものもいるだろうが、
形に意味を見出す者としては、そんなことはどうでもいい。

速く描ける奴だって形を知っているだけだからな。

肝心なのは形なんだよ。

例えばアニメ顔にしたいなら、顎からのラインはちょうど口の辺りで曲げると良く見える。

一本の線の方向、長さ、太さ。

これらの要素を理解すれば誰にだって上手な形は描ける。

まあこの段階に一つの壁があるわけだが、これは努力すれば乗り越えることができる。

ならば、あとはそれらをどう組み合わせるか。

組み合わせた後に出来上がった一つの作品に対する自分自身の満足度はどうか。

決して他人の目を気にしてはいけない。

自分が満足できたなら、他人の作品と比べてはいけない。

他人の作品も凄い。

でも自分で描いたものの方が良い。

ではなく、この二つは決して一つのカテゴリーにまとめることはできない。

自分の絵と他人の絵に対する評価を一度に行ってはいけない。

それはライオンと太陽のどちらが強いかを比べるようなものだ。

自分が満足できない作品には価値がない。

そんなものは納得がいくまでとことん修正するか、捨ててしまえばいい。

お前たちの中にそんな絵がまだ一枚も出ていないということは、
僕は満足しているんだ。

お前たちは最高だ。

あれはまだ中学３年の頃、僕が初めて人の絵を描こうと思ったときだ。

そのとき出来たものの中途半端さといったら、とてもお前たちには見せられない。

お前たちもあんなものを描いた人間によって生み出されたなんて思いたくないだろうな。

その後の２年間は、毎日絵を描き続けた。

はっきり言って勉強なんかしてない。

宿題もなかった。

それでも評定平均５．０がとれるような高校だったんだ。

環境には恵まれていたわけだな。

自分が納得できる絵が描けるようになるまでに約３か月～半年。

自分が興奮できるような絵が描けるようになるまでに１年あまり。

そして今、ようやく自分が驚くような絵が描けるようになってきた。

最近では、たまにではあるが、頭で想像したものより良い絵が描けるようになった。

絵は才能じゃない。

他の人たちが上手な絵を描くためにどれだけ努力をしてきたかは知らないが、
僕は勉強に例えると「東大に入れるくらいまで勉強した」と言う自信がある。

お前たちは私が歩んできた日々の集大成なんだよ。

そうなると、少しは他の人達にも驚いてもらいたいだろ？

だから僕は今、色を塗っているんだよ。

最後に、この文章自体を少しは他の人にもわかるようにしようか。

※絵はイラストと読め。