空気

空気が読める人間になりたいというよりは、空気の読めない人間になりたくない。

空気の読める人間になるにあたって一番重要な思考がこれだと思います。

「なりたくないなー」くらいのレベルじゃなくてね。

これは私が実際に経験した話なんですが。

空気が読める読めない以前に、空気の方から読ませてくるっていうパターンがあります。

人間というのは面白いもので、同じ風景でも何かが違うことを感じ取れるんです。

私の母が倒れて病院に運ばれたときがありましてね。

まあこれは幸い病気とかではなかったんですけど。

それは朝の話なんですけど、そのとき僕は昼過ぎまで寝てたんですよ。

昼過ぎだと人が１人もいないことがあってもおかしくはなかったんですけど、
その日は何か空気が違いましてね。

しかも目が覚めて数秒でこれは母に何かあったなというのがわかりました。

家族にではなく母に何かあったというのがはっきりとわかりましたね。

だからしばらくの間誰にも何も聞かないようにしていた。

まず起きたときのあの目覚めの悪さというか、起きた瞬間から気分が悪いみたいな。

なんなら部屋の空気がよどんでたと言ってもいいくらいの感じでした。

私の記憶の中の景色は、部屋の中に黒い油のようなものが漂ってるイメージです。

多分親が死ぬときも同じような感覚になるのではないかと予想されます。

でもあのときは自分で何かを悟ったというよりは、家が教えてくれたような気がします。

十年以上一緒に暮らしてきた家だもんな。

もう雰囲気がね、ぜんぜん違いましたから、ええ、これはただ事じゃないなと思いましてね…

まあだからといって何をするわけでもなかったんですけど。

それよりも、僕が今回言った黒いものが浮かんでいるというのは多分後付けのイメージですが、
どうやら今年の新入生には本当に音を色で感じることができる人がいるらしいです。

でも僕がその体質を持っていてもたぶん楽しくはないと思います。

というか、どんな特殊な体質を持ってる人も本人にとったら普通なんじゃないかな。

まあ自分にとってマイナスになるようなものだったら話は別だけど。

…誰でも書きそうな文章になってきたね。

でもあれだね、どうせそういう体質になるんなら、自分でコントロールできる範囲であってほしいな。

だって朝起きて目の前が真っ赤だったら困るでしょ？