黒髪

日本人なら髪は黒くあるべきだと姉さんは言う。

というか、どうやら日本人の顔には黒髪が一番似合うということらしい。
（というか、日本人が髪を染めても残念な感じになるだけということらしい）

たしかにオッサンとかが茶髪の短髪にしてるとそれはもう老け顔だよね。

日本人にとっては髪が黒いということは若さの表れでもある。

さて、そんな「日本人にとってのステータス」とも言うべき黒髪であるが、
どういうわけか大学生（イケてる側）には本当に少ない。

そもそも中学高校辺りから誰に言われるわけでもなく始まる染髪合戦は一体何なんだろうか？

少し視野を広げると、若者の間では「髪が黒い男はダサい」という意見すら聞く御時世である。

おそらく、これは一昔前に流行った「チョンマゲ」と同じ類のものではないだろうか。

他人からどう見られているかなど本人には関係ないのか、
あるいは大衆の意見がそうであるため、むしろ他人からよく見られたいのか。

前者の場合、私にはその行為を否定することはできない。

なぜなら約一年、私も形こそ違うものの同じような行動を取っていたからだ。

だが後者の場合、現代の常識は私とは真逆と言っていいことになる。

ほとんどの人間は程度の違いはあるものの、ナルシストである。

根本から「他人によく見られたい」、「少しでも格好良く（可愛く）見られたい」という思考がなければ、
そもそも化粧などしないはずである。

現代に生きる成人女性でこれまでに化粧を自分の意志でしたことがない人間が何人いることか。

物事の本質を考えるなら、化粧など肌に悪く、その日のうちに落としてしまうという、
極端に言えば金の無駄遣いとなってしまうほどの行為である。

それも一生かかって行われる行為であるから、当然金額もバカにならない。

ナルシストとは自分のことが格好良いと思っている人間のことだが、
他人によく見られたいという考えは少なからずこの要素を含んでいる。

また、ナルシストはあまり良い言葉として使われることはないが、
ナルシストという単語を頻繁に口にする人間ほどナルシストに近い気がする。

さらに、おそらくナルシストを嫌っている人間は女性に多い。

女性の嫌いなタイプで「やたら髪を気にする人」というのが毎回言われているが、
これはナルシストと言っているようなものだ。

私も少し前までは頻繁に髪を気にしたものだ。
（ただこれは日々伸びていく髪を自分の分身（またはペット）のように感じていたからだが）

…本題に入る。

最近美術部での過去の写真を見る機会があり、過去の自分の写真も当然あったのだが、
髪を伸ばし始める前に予想していた通り、髪を切った今の方が印象が良い。

自分のことを（ある程度）格好良いと思っている人間はナルシストであるが、
一般的なナルシストはその上で自分の見た目が悪くなるようなことをするだろうか？

ちなみに上で言った印象が良いとは「一般的な感覚で見ると」という意味である。

正直周囲の印象は髪を切る度によくなっていると言っていい。

先日土木の友人から「最近格好良いな」と言われ、誰も否定しなかったので自信過剰ではない。
（しかし、おそらく彼は自分より私の方が格好良いとは思っていないだろう）

…これだと私はナルシストではないと言っているような流れだが、そんなことを言う気はない。

どの程度かは把握していないが、私はナルシストである。

鏡を見て顔を気にしているのだから間違いない。

周囲は私のことをナルシストだと思っているのだろうか？

思っているなら、多少は嬉しいかもしれない。

なぜなら、おそらく不細工がどれだけ格好つけたところでナルシストだとは思われないからだ。

ナルシストとは、ある意味「ある程度顔は整っている」とも解釈できるのかもしれない。

今回の記事を簡潔にまとめると、
・姉さんは髪を染めた日本人が嫌いであるが、外国人はもはや同じ生き物だと思っていない。
・髪を染めることは一般的には他者を意識することである。
・それはナルシストと同じ要素を少なからず含んだ行為である。
・つまり、私は（特殊な）ナルシストであるが、その要素を含んだ人間などいくらでもいる。
・「用いた」が「ロリータ」の仲間だと思った私は頭が終わっている。
以上