殺刑

看守は私のもとへ来て牢を開け、手錠をつけたまま私を部屋の外へと連れ出した。

無言のまま看守は歩き続け、しばらくして着いたのは２つテーブルの置かれた部屋。

１つにはもう一人の看守が座り、記録を取っている。

「午前９時２９分執行開始。」

俺はテーブルに座らされ、目の前の看守は俺にハサミを差し出した。

「首を切れ。」

なんということだ、今年から死刑執行の方法が変わったとは聞いていたが、
こんな方法だったとは…俺は一体どうすればいいんだ？俺は、俺はああああ！！

さっきから何を一人でやってるんだお前は！

いたんですか？

居るにきまってるだろ、俺たちはそういう設定の性格だぞ。

いやー死刑を取り巻く環境も随分変わってきたなと思いましてね。
最近では「自分では死に切れないので死刑になりたかった」と凶悪犯罪を起こす輩もおります。

確かに問題だとは思うが、だからこれなわけ？

そう、「自殺刑」です！
まあハサミとかじゃなくても、大きな穴に飛び込んでもらうとかでもいいと思いますけどね。
飛び込んだ後はもう生きてようが死んでようがほっとけばそのうち死にますし。

いくら相手が凶悪犯だからってそこまで言うか？

…お前、自分の家族が殺されて同じこと言えんのかよ？

それは別に誰も殺されてない奴が言えることじゃないだろ。
わかったような口をきくな。
まあ、俺たちの間ですら論争が起きてる時点で問題は相当出てくるだろうな。

ところが問題なんて既に出てるわけですよ。
今ある問題を解決できるだけでも良いと思いませんか？
「死刑になりたくて」も無くなるし死ぬのは死ぬから「刑務所が溢れる」なんてこともないですしね。

まあね、で、犯人が死ねなかったらどうするの？

みんなが飛び込んでる大穴の下にクレーンでゆっくり降ろしてその後は放置します。

コイツ、考えることがえげつねえな。
しかも大穴とかさっき出てきた追加設定じゃん、それ今思いついただろ。

やだなぁ、大抵のことは思いつきじゃないですか。
７月に入ったことで私たちにフリートークの場が与えられたわけですし、有効利用をば。

それでいきなりこれだから先が思いやられるよ…
30thシーズン！早く来てくれー！

ツッコミのお前がパロディネタを披露してどうしようというのか。
役割を放棄したお前は「自殺刑」だ！

ヒー！