虚節イッター:記事を更新したいお年頃になってしまったようです
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「少女とクマさん」
小さな町をとり囲むかのようにうっそうと生い茂った森。
その森の中にクマさんはいました。
町の名はパティエラ。
春には花が咲き乱れ、秋には皆で豊作を祝う。
とても穏やかな、幸せな町でした。
その町の中に少女はいました。
少女は裕福ではありませんでしたが、毎日が幸せでした。
この町でみんなと一緒に過ごすことができるだけで幸せだったのです。
ある日、少女は初めて森の中に入りました。
母親から大きくなるまで森の中に入ってはいけないと言われていたからです。
この日少女が見た森は、いつも町の中から見ていたものとは違いました。
しかしそれは、初めて森の中に入ることができたという嬉しさからくるものだけではなかったのです。
そう、少女は森の中でクマさんに出会ったのです。
クマさんは言いました。
「どうしたんだいお嬢さん?この森は危険だ、女の子が一人で歩いていてはいけないよ。」
それでも少女の興味は、クマさんの今までに見たことのない恰好に奪われていました。
「あなたはだれ?」
「…俺はクマ、今までずっとこの森で暮らしているんだ。」
「へえ、クマさん。家族はいないの?」
「いるよ。むこうの小屋で一緒に暮らしてるんだ。ついてくるかい?」
「いいえ、知らない人にはついて行っちゃいけないってお母さんが言っていたもの。」
「そうか、じゃあ仕方ないな。」
その日の少女とクマさんの会話はそれっきりでした。
次の日も少女は森に入りました。
クマさんは昨日と同じ場所にいました。
「こんにちはクマさん。ここで何をしているの?」
「それは教えられない。でも、とても大事なお仕事なんだ。」
「ふーん…つまんない。そうだ、クマさんの家に行ってもいい?」
「駄目だよ、お母さんに言われてるんだろう?」
「…そうね。」
その日の少女とクマさんの会話はそれっきりでした。
次の日も、また次の日も、少女はクマさんのところへ遊びに行きました。
ある日、クマさんの様子がいつもと違っていました。
クマさんは言いました。
「お嬢さん、もうこの森には来ない方がいい。」
少女はとても驚きました。
そして、とても悲しい気持ちになりました。
少女はクマさんに恋をしてしまっていたのです。
「…嫌よ。明日も明後日も、これからもずっとあなたに会いに来るわ。」
「駄目なんだ。そんなことをしてたら、君の命が危ないんだ!」
「どうして…なんでそんなことを言うの?」
少女は泣いていました。
そして、町の方へと走っていきました。
クマさんは、もうこの少女に会えないのかと思うと、少し悲しくなりました。
クマさんも少女に恋をしてしまっていたのです。
ところが次の日、少女はクマさんのもとを訪れてしまったのです。
「クマさん、わたし…どうしたの、その傷!?」
クマさんは腕から血を流していました。
少女は昨日のクマさんの言葉を思い出しました。
「お嬢さん、来ては駄目だと言ったのに…早くここから逃げるんだ!」
その、次の瞬間でした。
少女の体を一本の矢が貫き、少女はその場に倒れました。
少女は思いました。
クマさんと、キスがしたいと。
「クマさん…こっちに…きて…」
「あ…ああ!お嬢さん!」
「クマさん…キスしようよ…」
「…」
少女とクマさんは、一瞬だけ、唇を交しました。
「…ありがとう」
そう言って、少女は息絶えました。
とても奇麗な笑顔でした。
少女を貫いた矢を射たのは、あの男だ。
それからどうなったか、語り継がれることはありません。
この日、一頭の熊が死んだ少女を乗せて町を訪れ、射殺されました。
「クマさんと少女」
愛が罪なら私は咎人だ
私の心に突然訪れたお嬢さん
何もかもが違うけれど 二人はいつも幸せだった
私の祖父は銃で死に 父は運命と我が身を変えた
それでも私はこの場所で 彼女の笑顔を守りたい
昨日一人の男を殺した
盗賊団のお頭だ
きっと明日には私を殺しにやってくる
「お嬢さん、もうこの森には来ない方がいい。」
それでも少女はここへ来てしまった
ああ、なんて愛しいお嬢さん
待っててくれ、奴等は皆殺しだ
この力 今こそ使うとき
そして若き男は獣へとその姿を変えた
しかしそこには一つの掟
二度と元には戻れない
小さな町をとり囲むかのようにうっそうと生い茂った森。
その森の中にクマさんはいました。
町の名はパティエラ。
春には花が咲き乱れ、秋には皆で豊作を祝う。
とても穏やかな、幸せな町でした。
その町の中に少女はいました。
少女は裕福ではありませんでしたが、毎日が幸せでした。
この町でみんなと一緒に過ごすことができるだけで幸せだったのです。
ある日、少女は初めて森の中に入りました。
母親から大きくなるまで森の中に入ってはいけないと言われていたからです。
この日少女が見た森は、いつも町の中から見ていたものとは違いました。
しかしそれは、初めて森の中に入ることができたという嬉しさからくるものだけではなかったのです。
そう、少女は森の中でクマさんに出会ったのです。
クマさんは言いました。
「どうしたんだいお嬢さん?この森は危険だ、女の子が一人で歩いていてはいけないよ。」
それでも少女の興味は、クマさんの今までに見たことのない恰好に奪われていました。
「あなたはだれ?」
「…俺はクマ、今までずっとこの森で暮らしているんだ。」
「へえ、クマさん。家族はいないの?」
「いるよ。むこうの小屋で一緒に暮らしてるんだ。ついてくるかい?」
「いいえ、知らない人にはついて行っちゃいけないってお母さんが言っていたもの。」
「そうか、じゃあ仕方ないな。」
その日の少女とクマさんの会話はそれっきりでした。
次の日も少女は森に入りました。
クマさんは昨日と同じ場所にいました。
「こんにちはクマさん。ここで何をしているの?」
「それは教えられない。でも、とても大事なお仕事なんだ。」
「ふーん…つまんない。そうだ、クマさんの家に行ってもいい?」
「駄目だよ、お母さんに言われてるんだろう?」
「…そうね。」
その日の少女とクマさんの会話はそれっきりでした。
次の日も、また次の日も、少女はクマさんのところへ遊びに行きました。
ある日、クマさんの様子がいつもと違っていました。
クマさんは言いました。
「お嬢さん、もうこの森には来ない方がいい。」
少女はとても驚きました。
そして、とても悲しい気持ちになりました。
少女はクマさんに恋をしてしまっていたのです。
「…嫌よ。明日も明後日も、これからもずっとあなたに会いに来るわ。」
「駄目なんだ。そんなことをしてたら、君の命が危ないんだ!」
「どうして…なんでそんなことを言うの?」
少女は泣いていました。
そして、町の方へと走っていきました。
クマさんは、もうこの少女に会えないのかと思うと、少し悲しくなりました。
クマさんも少女に恋をしてしまっていたのです。
ところが次の日、少女はクマさんのもとを訪れてしまったのです。
「クマさん、わたし…どうしたの、その傷!?」
クマさんは腕から血を流していました。
少女は昨日のクマさんの言葉を思い出しました。
「お嬢さん、来ては駄目だと言ったのに…早くここから逃げるんだ!」
その、次の瞬間でした。
少女の体を一本の矢が貫き、少女はその場に倒れました。
少女は思いました。
クマさんと、キスがしたいと。
「クマさん…こっちに…きて…」
「あ…ああ!お嬢さん!」
「クマさん…キスしようよ…」
「…」
少女とクマさんは、一瞬だけ、唇を交しました。
「…ありがとう」
そう言って、少女は息絶えました。
とても奇麗な笑顔でした。
少女を貫いた矢を射たのは、あの男だ。
それからどうなったか、語り継がれることはありません。
この日、一頭の熊が死んだ少女を乗せて町を訪れ、射殺されました。
「クマさんと少女」
愛が罪なら私は咎人だ
私の心に突然訪れたお嬢さん
何もかもが違うけれど 二人はいつも幸せだった
私の祖父は銃で死に 父は運命と我が身を変えた
それでも私はこの場所で 彼女の笑顔を守りたい
昨日一人の男を殺した
盗賊団のお頭だ
きっと明日には私を殺しにやってくる
「お嬢さん、もうこの森には来ない方がいい。」
それでも少女はここへ来てしまった
ああ、なんて愛しいお嬢さん
待っててくれ、奴等は皆殺しだ
この力 今こそ使うとき
そして若き男は獣へとその姿を変えた
しかしそこには一つの掟
二度と元には戻れない
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