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実のところ、こうなってしまうことは僕にはとうの昔からわかっていた。
最初はその流れに続いていくこと自体が目的だと思っていたのだが、
いつの間にやら僕の前にあった障壁は僕を包むシャボンの膜のように世界を歪めている。
日常が素朴ながらもどこか魅力をまとって僕を誘惑し始めたのである。
僕はこれを自覚し誰かに伝えようとしている今この瞬間、既に片足を踏み入れてしまっている。
こうなってしまっては、ただ現状を報告するくらいしか僕にはもう許されていないのである。
こんな偉大なる流れに抗うことができる人間がこの世の中に存在するのだろうか。
それは一度小川に落ちてしまった木の葉が流れに逆らうすべを体得する程に難しいのだ。
日常は微温湯のように温かく、これこそが辿り着くべき場所であったかのように錯覚させた。
そして僕はその時、微塵も抵抗しようなどとは思わずにそれを感じてしまったのだ。
太陽は月との交代を目指して水平線の横断を始めてしまったのだ。
そうと決まれば僕も新たな一歩を踏み出さなければならない。
既に踏み込んだ片足の、さらに先へと進むための一歩を。
その一歩が、明日の僕の一言になるのだから。
…おっと、不意に我に返ってしまった。
そう、こんな状況でも僕はちゃんと、確かに明日のことを考えているじゃないか。
それなら今はこのまま流れに身を任せてしまうというのも良いのかもしれない。
きっと今日の僕は精一杯今日を楽しむことができるだろうし、
もしかすると明日の僕だって今日を楽しむことができるかもしれないのだから。
でもきっと、いやほぼ間違いなく、そんな僕のことを楽しんでくれる人は少ないだろう。
狐は化けてこそ、皆の注目を引きつけることができるのだ。
一般的なものになってしまっては、それはもう澄み切った空気と同じなのだ。
多少埃でも舞っていた方が、まだ誰かの目に留まるだろう。
やはりいつも通り、明日のことを考えるからこそ、怖くなってしまう。
暗闇から無慈悲に突き出された両手にカードが1枚ずつ乗っている。
どちらを選んでもハズレではない、しかし、どちらを選んでもハズレである。
親切にも前もってそんなことを言われて、僕はどちらを選べばいいというのだろう。
案外、舞台袖まで走っていってカーテンを一気に閉めてしまうというのも有りなのだろうか。
ただその選択は、勢いよく走っている最中に両目を閉じてしまうようなもので、
その後の展開は誰も解き明かしたことがなく、教科書など存在するはずもなく、
もしかすると1度目と2度目では違う結果になってしまうほど不確定なものなのかもしれない。
…そうだ、こんなことを考えているだけでいいのだ。
なにも思い付いたからといって、それを実行しろと命令されるわけではないのだから。
考えてさえいれば、流されていることにもそのうち意味が生まれるのではないだろうか。
そうして僕はバカみたいな顔で思考を繰り広げながら、日常に流されていくのだった。
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