紫陽

田舎の自然は生存しているか。

そういえばもう紫陽花の季節だ。

昔は家を出ると、数歩歩けば紫陽花が目に入るといったような季節だったと記憶している。

鳥取はお世辞にも都会とはいえない都市形態をしているため、
同様の光景が期待できるはずなのだが、どうやらそうもいかない現状があるようだ。

大学へ行けば無論見ることはできるのだが、特定の場所にしか存在していないと感じる。

道を歩けば無造作に振り分けられた花々が視界を彩っていたあの光景は、
どうやらこの地で味わうことはできないようだ。

時代が移り変わったことも影響しているのだろう。

決してどちらが良いというわけではない。

一言で田舎と言っても、それ程地域によって形態が異なるという話だ。

考えてみれば、潮風に乗って様々な物が運ばれてきてしまうこの地では、
山奥である故郷と同じ植生が存在するはずもないのだ。

しかしこの季節には紫陽花が見たいと思う自分が居ることは間違いないのである。

青い紫陽花の中に少量の紫が混じるのが理想だ。