抉出

リアルな痛みが苦手な人は読まない方がいい記事。

まあ、俺の指に木のささくれが思いの外深く突き刺さった話ね。

突き刺さるのはもう仕方ないですよ、そういう仕事をしてるんだから。

でも結構深くいってしまうと処理が大変だ。

刺さった時点で結構な抉れ方をしているにもかかわらず、
さらに一番深くまで刺さった残りをなんとかして引っ張り出さないといけない。

ただし指の皮越しに見えている部分を外から押すと激痛が走る。

まあもう刺さった時点で抉れてしまっているわけですから、
ちょっとそこをほじるくらいなんてことはないだろうということで尖ったものを探す。

ところがしばらくすると痛みも感じなくなってきたので、そのまま仕事をし帰宅。

しかもそのまま所長に誘われて晩飯を食べに行き、その後カラオケまで満喫。

夜遅く家に帰ったあとでこのことを思い出した。

というか、ちょいちょい痛みは感じていたけれども、
こんなことで騒いでいるようでは指が千切れたとき等に大騒ぎしないといけないので、
無視師を発動させて痛みから目をそむけていたのであった。

しかし家に帰ってリラックスすると余計に痛みを感じてしまう。

このまま放っておいても明日も痛いだけなので手術を始めることにした。

傷口を改めて確認するが、ささくれは一度刺さった後途中で折れて抜けていた。

これにより先の方だけが指の中に残された状態になっている。

先述のとおり下から押すのは激痛を伴う上にさらに深く刺す危険があるため断念。

よって、抉れた部分の皮を裂いてささくれまで到達させた後、引っ張り出す。

道具はちょうど近くにあったドライバーセットの中のキリを使う。

これは当事者にしか分からない感覚だと思うが、
既に穴が空いた部分にキリを刺し込んでも実は全然痛くない。

ただこのキリは先の尖り具合が足りないため切れ味が良くない。

無駄に痛い思いをしながら少しずつ皮を刺し、裂いていく。

ある程度進むごとに血が出てくるが、逆に吸い出してやると止まる。

ただしこれもなかなかに痛い。

むしろささくれを出すために吸っているのにそっちは全く動かない。

しばらく作業していると周辺の皮がぐちゃぐちゃになってしまったので、
爪ではさんで引っ張ってやると綺麗に千切れた。

引き続き少し皮を抉ると、ようやくささくれの頭が出てきた。

ゆっくりやっていたので、この時点で３０分くらいは経っていただろうか。

３０分痛みを感じ続けるなんてことはなかなかない。

爪で引っ張り出そうと思ったが傷口に当たって痛いだけで掴めない。

試しにささくれの下の方を押してみると、てこの原理で上部分が前に出てきた。

その間にマイナスドライバーを刺し込み、ささくれを固定してみた。

しかし頭しか出ていないので爪で引っ張り出そうとすると外れてしまう。

しばらく挑戦してみたが諦めかけていたところに毛抜きがあったことを思い出す。

こうしてようやくささくれを引っ張り出すことに成功しました。

未だに指を曲げると少し痛いけれども、何かが刺さる痛みではなくなりました。

傷口の画像なんて貼りませんよ。

グロいからとかではなくむしろその逆。

意外と綺麗でこの死闘の印象を薄味にしてしまいそうなのでね。

丁度指の関節の部分ということもあって分かり辛いしね。

こっちはそのせいで曲げるたびに傷口が動いて痛いというのに。

まあ皆さんは僕ではないので、この瞬間も痛くはないわけです。

もしくはもっと大きな痛みを感じているのかもしれない。

しかし逆に私はその痛みを感じることはできないので御相子ということで。

まあ指の肉は少し深く抉ったくらいではまだ綺麗だったということがわかった。

俺が自分の体に対してわりと無慈悲であることもわかった。

いやむしろ痛い思いをしてでもささくれを取り除いてあげたのだから優しいのか。

その先により良い未来があるのなら、非常な選択もできるということだ。

どうも、衛宮切嗣です。