窓辺

私の知り合いのSさんにね、少し前に好きな人ができたんですよ。

その女性は、あるマンションに住んでいる方で、
いつも窓辺に立って外の様子を眺めていたんですって。

最初はチラッと見ただけだったんですが、何度か続くとだんだん気になってきまして。

Sさんは用事でその道を通るたびにその女性がいるかどうか確認するようになったそうです。

でもふとおかしなことに気付いたんですよ。

Sさんがその道を通る時間は特に決まっているわけではないんです。

それなのにその女性はいつそこを通っても窓の外を眺めているんです。

その日、Sさんは意を決してその女性に声をかけてみたんだそうですよ。

だってそう、その部屋の窓はいつも開いてるんです。

「こんばんはー！」

明らかにその女性に言ってるとわかるように、大きめの声で呼びかけてみた。

返事がない。

顔は微笑んでいるのに、いくら呼んでもちっとも反応がないんです。

自分はその女性のことが好きなわけですから、無視されると当然辛い。

Sさんとうとういてもたってもいられなくなって、その女性の部屋へ走った。

一目散に部屋を目指す、驚いたことに鍵も開いている。

飛び込んだ部屋の先でSさん、何を見たと思います？

ラブドールを両脇に抱えた４０代のキモオタが全裸で横たわってたそうですよ…

怪談「観賞用の愛人（形）」

というわけで全く意味のない窓が開いてる設定なども挟みつつ、
エロ方面に力を借りたような形で今回は近年の技術の進歩が凄いというお話です。

虚言の季節