駐輪

先日、ファストフード店で朝食を取ろうとしていたら、駐輪場に乗用車が止めてありました。

そこで横目にジロジロと睨みつけながらどこか空きスペースを見つけて駐輪すべきか、
ここは諦めて別の店へと向かうべきかと数秒迷っていたのですが、
そこに後からやってきた人がその車を見ていきなり「ああああああ～！！」と叫び出しました。

僕は、ああ、久々にヤバい人と出会ってしまったと逃げ出したい気持ちになり、
どうやってこの場を切り抜けるべきか、その答えはおそらく店内への逃避しかないと悟り、
極めてスムーズな動きで店内への入り口に向かった訳でしたが、
その危うい人は片手をその車のドアにかけると、なんと片手で車を持ち上げ、
ファストフード店に向かって投げつけたのです！

彼は僕に向かって「どこへ行こうとしている？」と一言。

そう、彼は車に発狂していたわけではなく、その狂気は最初から僕に向かっていたのです。

というか、普通に喋れるんじゃないかと少し安心した部分もあったわけですが、
彼は僕が実は昨日彼の友人を殺害した犯人だということを知っていたのです。

これは生かしておくわけにはいかないので、どうにかして死んでもらうことにしました。

投げつけられた車は店内のお客さんにぶつかって店内は血の海に、
そこに血塗れの地獄絵図が展開される前に僕が受け止めたので被害はありませんでした。

目により一層の力を込め、凝縮した大気を瞼の内側に溜めて高圧で発射、
敵の体が木っ端微塵になる様を確認したのと同時に背後には既に複数の気配があり、
僕はついに敵勢力との本格的な戦闘の歴史が始まったのだと悟りました。

その先には繰り返される破壊と失われる命、大地に立ちこめる嘆きの瘴気、
荒んだ世界を迎える未来しか残されていないのかと思うと、
今のうちにファストフード店を楽しんでおこうということになったので、
とりあえずその人たちと一緒にこの店に入ってテーブル席で牛丼など食べている所存です。

僕はこれからこの人たちを倒すことになってしまうのでしょうか。

ちなみにこのお店は、紅ショウガが無料なのが良いんです。