唯一

数値１による無力は己のみに限定された話ではない。

平均の魔力により擦り付けた１が相手を苦しめる。

過去の１は決して２にはならないという絶対的な履歴。

これは最大の武器ではないか。

駆除及び撲滅の火種として１を用い、これを与えることで苦痛を増大させる。

そういったとき、この１は間違いなく１００にも２００にも自身の中で成長するだろう。

無関心な他者の精神に踏み入るにはまだ時が足りない。

今はまだ、己に仇なす者から１を与えていけば良い。

これが誰にでも許された力であるということは神からの啓示であろうか。

いつしかその視線は、孤高かつ理想的な数値として１を捉えていたのだった。