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あれは去年の夏も終わるという頃…9月の、ちょうど誕生日の翌日でしたか。
その日の夕方、私は知り合いの車に乗って智頭街道を鳥取県庁の方に向かっていました。
もともとその途中にある鳥取画材っていう画材屋に行こうと思ってまして、
知り合いがちょうど県庁に行く用事があるって言うもんでついでに乗せてもらいましてね。
知り合いとは画材屋の近くで降ろしてもらってそのまま別れました。
で、画材屋にそのまま行ってもよかったんですが、その時は少し寄り道しようと思ったんです。
もとからそんなに寄り道したがる性格じゃないんで自分でも不思議だったんですが、
まあせっかくその気になったんだからいいかと思って、ちょっと脇道に入ったんですね。
そもそもこの鳥取っていう町はどうも時代遅れというか、
5時過ぎには閉まりだす店もそこそこ多く、さびれた町という言葉がぴったりなんです。
当然この日私が歩いた通りも着物屋やら畳屋やら、古臭さを感じさせる店で溢れ返ってました。
そこで面白い建物を見つけましてね。
建物自体は廃墟みたいな古びたものなんですが、その中に幾つかの小さい店が集まって、
まるで学校の教室1つ1つが店舗になったかのような造りだったんですよ。
これはなかなか凝った造りだなと思って店を見てみると、CDショップがありましてね。
ちょうど買いたいCDが出たところだったんで寄ってみることにしました。
扉を開けるとカランと古い音、中に入るとこれまた古臭い雰囲気で、
こりゃお目当てのCDは無いなと一目見てわかる感じでした。
小さい店なんで店員も男性が一人だけでした。
とりあえず、おそらく個人経営で趣味でやってるんだろうなというのはわかりました。
でもまあせっかく来たからと店内を物色するのもほどほどに、
「~っていうCDありませんか?」って店員さんに聞いてみたんですね。
そうしたら「…ちょっと…ないです」ってなんというかあんまり良くない返事ですよ。
声も小さかったですし。
まあ内心では個人経営だし仕方ないかななんて思いながら礼だけ言って店を出ました。
後は普通に画材屋に行って、その日は帰ったんですね…
ここからは先月の話なんですが、ふとこのことを思い出して彼女に話したんです。
彼女の方はCDショップには興味がなさそうだったんですが、建物自体には興味があるらしく、
二人でまたそこに行ってみようという話に。
私自身もそこまで乗り気じゃなかったんですが、せっかく行くならまたあの店に寄ってみるかと。
同じ建物でも昼間に来てみると結構印象が違うなと思いつつ、とりあえず中に入りました。
建物の造りにテンションを上げつつ、店を見まわす彼女の姿に、
とりあえず来てみてよかったと思いました。
その後彼女は真っ先に小物屋に入ってしまったので、ここは別行動をとることに。
早速あのCDショップに行くことにしました。
カランと扉の音、中に入ると、明らかになにかがおかしいんですね…
店内の雰囲気が何か違うというか、品揃えが明らかに違うんです。
前回は適当にしか見なかったし、コーナーの位置が変わるなんてことも珍しくはないんですが、
個人経営の店でわざわざそんなことをするかなと思いまして。
そのすぐあとに店員がCD棚の奥から出てきたんですが、その人がまた、女性でしてね。
これにはさすがにあれっ?と思いました。
すると今度は小物あさりに満足したのか彼女も店に入ってきまして。
当然店員の話になるんですが、彼女も不思議がってまして、
あの男の人はこの場所を売って辞めてしまったのかとも思ったんですが、
さすがに買った人がまたCDショップをやるってのも珍しいという話になりました。
そこで、とりあえずその女性店員に話を聴いてみることにしたんです。
「あの、すみません、このお店は最近始められたんですか?」と聞くと、
「いえ、かなり前からですけど」と。
詳しく話を聴いてみると、どうやら2年くらい前に父から店を受け継いでやってるみたいで、
その店自体はもう本当にかなり前からあるということだったらしいです。
見ると彼女は20代後半くらいですし、そんな若い女性がよくこんなところでと思いましたが、
父が足を痛め、母は共働き、兄弟もいないということで彼女が継ぐしかなかったんだとか。
いや、でもそれだと去年店にいたあの男の人は誰だったんだろうなと…
そこで「実は去年の9月の終わり頃にこの店に来たんですが…」と言うと、
店員が一瞬明らかに不思議そうな顔をしたんですね。
ちょうどその頃、事故に遭って短期だったものの入院、店は休業していたって言うんですよ。
これはいよいよおかしなことになってきたぞと思ってちょっと冷や汗をかき始めたんですが、
そこですぐ店員が思い出したように言ったんです。
「あ、それ父です、今でもたまに店に来るし、何日かは代わりに出てくれてたみたいなんで。」
「…ああ、なるほど、そういうことでしたか。」
私はいかにも納得したという表情でお礼を言い、CDを1枚だけ買って彼女と店を後にしました。
彼女には「普通に考えたらわかるでしょ」なんてバカにされてしまいましたよ。
…でも、納得できるわけないでしょう。
私は帰り道、鳥肌が収まりませんでしたよ。
彼女には詳しく話してなくて本当に良かった。
だってその男性って、どう見ても20歳くらいだったんですよ…
… お 前 だ ッ ! !
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