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彼女は緑色のリボンで飾られた、小さな箱の中にいたんだ。
小さいといっても人間が入るには小さいと考えるのか、その辺の問題はあるだろうが。
少なくとも僕にはあまり心地の良いものではなかった、外見のことだ。
外見、様…様子と言った方がいいのかもしれない。
箱の中に彼女がいるという事実は昨日この目で確かめて以来だが、
それでもまだその中には彼女がいるだろう。
もしかすると箱にはすごく小さな穴があいていて、
箱の内側からはこっちが良く見えるかもしれない。
でも今、僕には彼女を確認する手段がない。
箱の蓋は簡単に開けることができる。
僕自身の意思はそれを頑なに拒んでいるというわけだ。
僕が、あるいは周囲の人々も巻き込んで、人間が作り出した資格だ。
といっても、人間が作り出していない資格なんてものを探すのはとても難しい。
それはそれとして、小規模な創作物を表現する場合はこのやり方でいい。
蓋を開けると僕の腕が吹き飛ぶだとか、半径1キロメートルが木端微塵になるだとか、
そんな超常現象が起きるとはだれも思っていない。
しかし、それでもある意味超常現象は起きる。
そこに今まで当たり前のように存在していた雰囲気が消える。
それがとても悲しいことのように思える抽象的世代の人々なんだ。
だから箱の前に座って、誰か関心の無い人が箱を開けるのを待っている。
もしくは彼女自身が食事でもしに外へ出てくるだろうか、この前のように。
彼女の姿はとても美しいんだ。
僕を支配する理論めいた野性だ。
あるいは夜の帳を思うように、その腹に頭の重みをまかせてみたい。
それとも手をつなぐということに何らかの意味を見出すのか。
全ての可能性をも考えつくせるような気がした。
でも箱は決して開けない。
そこに彼女がいたとしても、あるいはいなかったとしても。
僕の前には今、彼女の入った箱があるから。
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