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星の綺麗な夜、僕は露店でものさしを見ていた。
透明なガラスの中に目盛が埋め込まれた不思議なものさしだった。
店主は言った、このものさしは一見普通のものさしだがよくみると少し違う。
ガラスでできたさいころを転がすようにものさしの角度を変えると、
さっきまで見えていた目盛とはまったく違った、酷く歪んだ目盛がそこにあった。
僕はこんなに歪んだ目盛では何も測ることができないと思った。
でも店主はそんなことはない、これにはちゃんと測るものがあると言った。
よく見るといくつもある面のどれ一つとして同じ目盛が見える面はなかった。
こんなもので一体何が測れるのか不思議に思った僕は店主に訪ねた。
店主は買えばいずれわかると、ものさしを僕に差し出してきた。
僕はそのものさしを買った。
やがて若かりし君と出会い、僕はものさしの使い方を知った。
これは人の心を測るものさしだったのだ。
嬉しい時、悲しい時、腹立たしい時、角度を変えればどんな感情でも測ることができた。
そうして僕は君の心を知り、ようやく君と一つになることができた。
君はよく笑いよく悲しみ、そしていつも僕のことを好きでいてくれた。
君の心は君の口からでなく、すべてこのものさしが教えてくれたのだ。
だが君が死んだあの日、僕はものさしをなくした。
君の体温と共に、ものさしはどこかへと消え去ってしまった。
なのに今僕の手の中には、同じ形のガラス棒が、毎日のように握られていた。
あの頃より少しだけ星の光を通しやすくなったガラス棒を、僕はいつも握っていた。
ものさしの形にアザがついたその手に、僕はガラス棒を握っていた。
僕はガラス棒を握って、あの日と同じ配置になった星達を眺めていたのだった。
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