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精神が空の彼方に飛んで行った。
今朝までそんな感じだったのが、急に余裕が出てきた。
それでもこの人の不安定な精神は、斜塔という絶妙なバランスで停止しているにすぎない。
しかもそれは一時的なもので、いつ窓ガラスが割れるかもわからなければ、
塔の天辺についている金色の女神像が崩れ落ちる危険性もある。
その塔の一室で、しゃがみ込んで小さく丸まっている人がいる。
その人の元に仮面をつけた男がやってきて笑うのだ。
仮面はちょうど目の部分が黒く塗られており、その周りには赤いラインがひし形に描かれている。
彼はとても怖かったが、逃げることはなく、目を閉じた。
すると仮面の男はいつまでも彼の横に居続けた。
仮面のちょうど左側に四角い窓。
雲が疎らに浮かんだ青空がのぞいている。
その空を鳥が二羽並んで飛んでいく。
そのうちの一羽を矢で射抜いたのは、一つ上の階の住人。
彼が被っている帽子には、彼自身がどこかで仕留めたのであろう鳥の羽が飾られていた。
その男の部屋には茶色くニスが塗られた脚の長い椅子が一つ。
堅そうなベッド。
小さなテーブルの上にカゴいっぱいのミカン。
天井には穴が開いている。
そこから下を覗き込む男がいた。
男とは言っても人間かどうかは怪しい。
全身真っ黒で、四つん這いになってニヤニヤ笑いながら穴を覗き込んでいる。
その部屋に明かりはついておらず、窓もないため、他には何も見えない。
彼自身も気付いてないのだが、実はこの部屋にはカメラが仕掛けられている。
一番下の住人がこっそりと仕掛けておいてのだ。
彼は壁を通り抜けることができる。
全ての部屋で彼が仕掛けたカメラが作動しており、彼はそれで各部屋を毎日監視している。
昨日二つ上の住人が息絶えた。
明後日には新たな住人が現れるという。
その今は空っぽの部屋にはテーブルが一つだけあり、その上に箱が置かれている。
箱の蓋は少しだけ開いていて、そこから半透明の黒い液体が流れ出していた。
それは床に広がり、壁を伝ってその部屋の窓から外へ出て行った。
外につながれた緑と白、それに茶色の三色の斑模様を身にまとった犬が、
その雫を体に受けると、緑であった部分は見る見るうちに紫色に変わっていく。
弓矢の男は、色が変わったことによって、さっきまで狙っていた犬を見失った。
ふとその部屋のドアを誰かがノックする。
この塔で彼の右に出るものはいない。
右に出た者を串刺しにするのが趣味なのだ。
よく聞いてみるとそれはノックではなかった。
扉を破壊しようとしている。
でも大丈夫。
そのうち階段に仕掛けられたレーザーが彼を焼き払うだろう。
そうすれば彼はおとなしく自分の部屋に帰る。
その様子を覗く男は笑いをこらえるのに必死だった。
ちなみにこの斜塔の外壁の色はグルーンである。
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