同化

突然ですが、ここに２０人の捌人目が並んでいることにしてみてください。

彼等はみな捌人目なので外見の差異は全くありません。

ここで問題です、彼らにより捌人目らしい人から順に一列にならんでくださいというと、
一体どうなるんでしょうか？

私は捌人目の無限に増殖できるという特性に目をつけ、この実験を始めたのです。

しかし結果は私の予想に反し、本当に予想外のものとなった。

彼等は融合を始め、瞬く間に一人の捌人目に戻ったのです。

いいえ、さらに厳密にいえば、彼等は並んでいたのです。

…全く同じ場所に。

そこに寸分の狂いもなく２０人の捌人目が並んでいるのです。

私は見ました、捌人目のこれ以上ない笑顔を。

その笑顔を見た次の瞬間、私は彼らと一緒に並んでいました。

やがて捌人目はゆっくりと歩きだしたのですが、どうしたことでしょう。

私を含めた残りの２０人も一斉に、全く同じタイミングで全く同じように歩きだしたのです。

外側から見れば一人の捌人目が歩いているようにしか見えないでしょう。

私はもはや存在しているのでしょうか？

さらに驚愕の事実をお教えしましょう。

先程２０人と言いましたが、これは嘘です。

私が捌人目に同化した時、本当は既に数えきれないほど多くの捌人目がそこにいました。

そして捌人目は、今でも刻一刻と増殖しているのです。

本体と全く同じ場所に。

私たちは強制的に捌人目と同じ見た目になり、同じ行動を強制される。

きっと捌人目が死ねば私たちもみな死ぬのでしょう。

そして捌人目が指示をしたときだけ、都合のいい駒として記事作成に使われるのでしょう。

ではなぜ今、私はこんなことを書くことができているのか。

捌人目にこのことを書けと言われたからです。

そうすることで捌人目に浸食される人間が増えるのです。

残念だったな、お前はもう私の術中にはまっている！

何を隠そうこの私こそ、どうも、捌人目です。