螺旋

黒く淀んだ視線をさらに曇らせ　己の力に呑まれた愚か者よ

鉄槌はお前のすぐ背後に迫っている　肌をなぞる酷く冷たい殺意を感じろ

我が内にあるのは深き憎しみ　かつて捻り潰された同胞達の悲しき嘆き

黙して死を待つ獣の姿を前に　聖者はいつしかそれ以上の化物へと成り果て

彼が望むは永遠の懺悔を示す物言わぬ石像　だが悲しみの涙を枯らすにはまだ早い

殺意が男を喰らうのか　男が殺意を喰らうのか

異なる黒き意志は二つ　やがて螺旋を描きながら塔を飛び降りた

嘆きを大地へと撃ちつけ世界を滅ぼす彗星へと姿を変えて

禍堕つる日の星空　潰えぬ争いの伝承

世界が人の手を離れ　混沌へと加速する前の物語