主従

本日は紅茶をお飲みになっておられる。

大変に優雅な光景ですね。

ガス漏れの影響か、昨日私の家は跡形もなく吹き飛びました。

それでもその敷地にゴミ捨て場から椅子を拾ってきて座り、こうして紅茶を飲んでいるのです。

そんな児戯が許されたのは、今私の横に立っているこの方のおかげ。

みなさんどうも、捌人目です。

孤児院に引き取られた私は、その短い生を虐待という不可避な暴力によって終えるはずだった。

しかしそうならなかったのは、この方のご両親に運良く引き取られたからに他ならない。

結局それは私の両親になって、後に両親は彼女という子宝にも恵まれたわけだが、
それまでの間、二人にとっても私はささやかな希望でいられたのだろうか。

それを問い続けることで私の生が保たれているというのなら、生涯この家に仕えようと決めました。

だから彼女は私の主であり、妹でもあるのです。

この捌子という女、実に掴めない性格の持ち主である。

毎日気に入った捌人目を見つけてはそれらをからかい遊ぶことを日課にでもしているかのような、
少々ひねくれた趣味を持っている半面、その一挙手一投足は気品に溢れ、
初対面の相手にすら敬意を払わせることを自覚させるその姿、まさに王道。

彼女こそ、王たる資格を持つものであった。

私は彼女に問いかけることはしない。

彼女の行動には全ての答えが常に表れているからだ。

その表裏の欠片も無い高貴な振る舞いとその心に刻まれた御両親への愛。

このような素晴らしい主と巡り合うことができたことこそ、私への褒美ではないでしょうか。

ああ、今や素晴らしき人生！

鳴り響く賛歌は彼女のために！

しかしその傍らで確かに私の耳をも楽しませてくれている。

この方の名前はなんというのか、私は実は知りません。

兄であること、捌人目であること…そんなことは大した情報ではないのです。

それよりも長い時間を共に過ごしてきたこの方の名前すら知らないことに、
私は時として悲しみを感じてしまうことがあるのです。

その名を与える者はやがてこの世界に現れるのでしょうか。

もしいないのならば、この私が…

その心配は必要ナッシング！！

本日よりお二人はHNM48の正式メンバーに認定されました！！

捌人目の捌人目による捌人目のためのエンターテインメント集団、HNM48！

その記念すべきセンターは捌子、君に決めた！

誰に意見してんだテメェ！

まあいい、お前がどうしても私の力が必要だってんなら、少しくらい貸してやってもいいよ？

私はお前と違って素直だからね。

お嬢様がお許しになったこと、光栄に思いなさい。

私も協力しましょう。

了解！あと君らな、いわゆる世界五分前説ってやつだからよろしく！

ソルジャーサラダバー！

…はて、あの男の去り際のセリフには少々嫌なものを感じましたが。

確かに、ソルジャーサラダってなにかしら。

そちらではありません、この世界がわずか５分前に出来たという…

放っておきなさい、家を建て直すには金がいるわ。

仰る通りです。