鋭利

大人ってなんだ？

大人ってのは、尖ってないもののことだろうな。

法律上成人というものには２０歳からなることができるが、そんなものは大人じゃない。

俺たちの使ってる「大人」って言葉は定義じゃなく、もう少し概念的な物のはずだ。

子供の対照としてある大人ってモンは、よく考えたらかなり都合が良い。

子供の言うことにはどんなことも目くじらを立てずに聞いてやるだとか。

子供のためならどんな時でも体を張って守ってやるだとか。

突き詰めていくと、そこに求められてる理想像はもはや人間か？

大人になるってのは酷く押しつけがましい考え方なんじゃねーか？

そんなモンに従って文句も言わずに生きていける人間ってのは、
言ってみればかなり鈍感なんだろうな。

立場上大人になった自分でさえ大人になった自覚がないってのに、
定義的にそうなっただけで概念的なモンを受け入れさせられるわけだからな。

途中でいくらか鈍感になってねーとその不条理に対抗することはできないだろうな。

いや、そもそもこれは対抗したら負けってルールだ。

鈍感になることは、何かに対抗する意識をなくすことだと言っていいだろう。

そういう奴は周りから「いつまでも子供だ」と言われ、敏感なまま折れていくんだろう。

まあ、敏感なほどすり減るのも早いわな。

そういう奴は究極的には挨拶一つさえ、なんとなくやるってことができなくなっていくんだろう。

でも自分を理解してもらう期間はもうとっくの昔に終わってる。

お前がその一言に込めた意味を理解しようとしてくれる人間は、年々消えていく。

逆に下からはそういう奴らがどんどん湧いてくる。

そいつらの言うことを聞く側に回ることができなかった時、そいつはもう不適合者だ。

結局下から上がってくる奴らがずっと同じペースで増え続けるなら、
上に上がってしまった奴らはいくらバラバラだろうが、どこかで強制的に統一されるしかない。

まあそれも、自分は上にいると思ってる奴が本当に上に居続けたいならの話だがな。

でも人間なんていざ鈍感になってみりゃ、楽なもんだ。

ヘラヘラ笑って、上手いこと生きて、あとは気づけばジジイだよ。

でもそこまで行ってからじゃないと、できないこともあるんだな。

さすがに俺だってそうなったら、やりたいことをやり始めるだろう。

いくら鈍感になったとしても長年すり減り続けた奴らだ、そりゃ尖りもするさ。

まあそうなってしまったものを大人と呼べとは、さすがの俺でも言えないけどね。

結局は最初言った通り、尖ってなかった期間が大人だったってことになる。

むしろ子供の方が大人だな。

じゃあ後はいつ尖るかの問題だ。

お前はいつ尖ろうと思う？